社会復帰概論

むずかしいです

週記3 二律背反

すっかり、陽がぽかぽかと射すようになってしまった。路傍には、南国情緒あふれる、鮮やかなピンクの花が咲いている。パチンコ屋の新装開店セールを彷彿とさせられながら、それに近寄って、匂いを嗅いでみた。南国の香りはしなかった。なにくそ、と腕まくりをして、初春にユニクロで買った綿の薄手のニットが、草臥れてきているのに気づく。春から夏にかけて着るために買ったのに、こんなに早く疲れられてしまってはこちらとしても都合が悪い。また新しいのを買わなくちゃ。

服のくたびれは買い替えればいいとして、人のくたびれはどうだろう。買い替える、にあたるものはなんだろう。身体的、精神的、経済的な解れや草臥れ、そういったものを直し直し生きてゆける人ならばそれでいいけど。そういうことができない僕は、毎度まいど破綻してから編み直すしかないのが手間だし疲れるし心苦しい。


そういえば、新しいバイト先はとても当たりを引いたようだ。労働環境とか云々は、思ってた通りだったけれど、何しろ同僚が前向きで穏やかな人たちで、働いていて心地よい。職場で一番大切なのは対人関係だ、と言った先人の言葉は間違っていなかったわけだ。これは細かな幸せだけど、バイト先に向かう時に嫌気が差さないというのは今回が初めてかもしれない。そういう意味では僕はほくほく暮らせている。あとはこの暖かさがどこまで拡張されるか、どこまで膨脹させられるか、といった具合だ。