社会復帰概論

むずかしいです

週記6 放蕩

南森町に深夜営業をしている喫茶店を見つけた。平日は28時まで、休日は26時までやっているらしい。鼻腔を突く珈琲の香りと目の前に並ぶ臙脂の椅子。しゃがれた木材の音が耳をくすぐる。窓外には烏の羽根のような黒。将来はこの辺りに住もう。そう決めて相手が来るのを待った。珈琲はその日のオススメだったキリマンジャロを頼んだ。穏やかな酸味が背筋をぴんとさせた。

ところで最近は同年代の友達と会うことがことさら多くなった。ちょっと前は十は歳上の人とご飯に行ったりなんたりしていたが、いざさて同年代と遊ぶようになるとこれがなるほど心地よい。そういえば昔からそういう質だったではないか。先輩後輩とも同期のように付きあいたいし、付き合って欲しいとずっと思っていたではないか。楽に生きることを遠慮してはいけない。

街を歩くとき、僕はイヤホンをして音楽を聴くことがままある。僕のプレイリストを作って、僕の時間のまま街を闊歩する。先日、うっかりイヤホンが携帯から抜けて音が鳴り止んだときに、街の音がいやにこもって耳に届いた。慌ててイヤホンを外すと、そこにはいつもの街の喧騒があった。歯痒くなってしまった僕はあのもどかしさ、違和感みたいなものともう少しだけ親しみたくて、イヤホンをまた耳に挿した。反対側は宙ぶらりんのままで。